蟲文庫とサロニカへ   

地面から甘い匂いがしたら夏だ。
蝙蝠傘を日傘かわりに、ふらふらと美観地区を目指す。
安い駐車場はいつも目的地から遠いのだ。
えびす商店街に入る頃にはもうぐったり。
いっこも用事は済んでいないのにまずは木鳩屋で休憩。
「ジンジャーエール飲む?」
コバト店主のこの言葉も夏到来のひとつ。
大きめのコップに琥珀色のシロップが揺らめいて炭酸シュワシュワ。
カランコロンと氷鳴らして飲みほす。
すばらしくうまい!スクッと元気になる。
  (注)木鳩屋の手作りジンジャーエールおとな味はコバトまかないです。

どんどん歩けそうな気分になったところで蟲文庫を目指す。
店の前にはゆるみかけた蓮のつぼみが伸びている。
アプリオリ3号10冊納品。
納品ついでに本を物色するのがいつもの楽しみ。
なぜか、文庫で『目白雑録2』しか持っていなかった、
金井美恵子さんの『目白雑録(ひびのあれこれ)』と
蟲文庫文庫 『夏の花』原民喜氏を購入。
蟲文庫店主が「紙魚見ますか?」とシャーレを取り出す。
この年になっても思い込みで間違って認識していることは多い。
そのひとつに、紙魚は架空の虫だと思っていた。オハズカシイ……。
シャーレの中でじっとしているこの虫は、我が家にもいる。
するすると動いてこんなに四方からまじまじと眺めたことはないがな。
「飼っているのですか?」
「はい」
蟲文庫さんが紙魚を飼っていてもまったく違和感がない。

*後日ウィキにて、英語では「銀の魚(silverfish)」ということを知る。
  紙魚と同じく魚が泳ぐような走り方をするからなのだが、漢字にすると
  素敵で幻想的で好み!

本を物色していると切りがないので、次へ急ぐ。
倉敷川のほとり、忘れられたように佇む喫茶店(カフェではない)サロニカへ。
ギギッとドアをあけて入るとうす暗く30年は時間を遡る。
「まあまあお暑いのに……」
いつもは不思議な常連客でカウンターがいっぱいだが、なんせこの暑さ。
アプリオリ3号5冊納品。
サロニカの女主人はすぐに開いて読んでくれる……がこれがまた身の縮む思いだ。
俳人であるから感想は厳しく温かく的確だ。
いろいろな言葉を頂きながら、アプリオリをほそぼそ長く続けられたらよいなとしみじみ。
とそこに、常連のH氏登場。わたしはその豊富な知識にひそかにH教授と呼ぶ。
きょうは美の感じ方についてが始まりだったと思うが。
とにかく西洋哲学から宗教、歴史、美術、日本文学から映画に渡り、
ありとあらゆるところから美を説くH教授。
スミマセン……流れはなんとなく、人名や単語は2割ほどしかついてゆけませんでした。
わからないのに癖になる面白い講義の時間。
次の納品にもぜひにお会いしたい。

そんなこんなで、倉敷地区アプリオリ納品完了デス。
[PR]

by aprioribooklet | 2010-07-24 13:42 | アプリオリ編集室

<< ハニカムブックス&トンカ書店 文学猫 >>